LOVE ON HIGH
僕は陰気な連中とノイズィな連中がキライだ。
最近のダーツバーには、ノイズィな連中が増えてしまった。
そのダーツバーの向かいにある、こじゃれたふうがムカッとくるパスタ屋、そっちには陰気な連中がたむろしている。
どちらとも無縁でありたいね。
恋愛について考えるというか、色恋沙汰について考えるとき、何も難しく考えることはないと思う。
オトコとオンナ、お互いがハイになればいいのだ。
ハイにならなければ恋愛はありえない。
ハイになるということが、センスとしてわからない連中が、友達探しに集まって、無理やり騒ぐとノイズィになる。
平凡で静かで、少々のお金と遊びがある、そういう環境だけあればいい。
その中に、ごく自然なハイがある。
そこでハイになれないやつや、ハイにはお金が掛かると思い込んでいるやつは、もう老いてしまって見込みがないので、諦めてただ税金を払っていてくれ。
恋に結ばれるということは、その自然なハイに、お互いがお互いを連れていけるということだ。
午前三時のキャッチボールでもいいし、みゆき通りにグランマニエを探す夜でもいい。
スケーター・ボーイを聴きながら、首都高を気分で走ろう、そういうくだらない提案が、二人をはしゃがせてしまうのが恋愛というものだ。
陰気な連中はダメだ。
ノイズィな連中も勘違いしている。
大事なのは、正しくハイになるということだ。
六本木から厚木方向、首都高をブルーで照らしてアクセルを踏む。
お前は美人じゃないけど、お前と走ると夜景がきれいだ、なんて彼はあなたを口説くだろう。
海老名のサービスエリアで、あなたは深夜のメロンパンをかじる。
「話はわかったけど、ひとつ取り消して、わたしが美人に見えないのは、あなたの目が曇っているからだわ」
今夜は陰気な恋愛論に唾を吐け。
足を肩幅に開いて、人差し指を突き立てて愛に飛び込め。
[了]
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