恋愛偏差値アップのコラム









一時間のフェラチオ






一時間、切々と彼に「好きです」と語り続けるのと、彼のあそこを丁寧にフェラチオしつづけるのとでは、どちらが彼の心に届くだろうか。僕は正直、後者じゃないかなと思ってしまう。僕の場合に限定すれば、間違いなく後者だと言っていいだろう。

あなたは、どう思いますか。一時間の「好きです」と、一時間のフェラチオ・・・。

一時間といえばかなり長い時間である。が、「一時間もフェラチオしてくれるオンナがいるわけないよ」「ありえないし」などと思うなかれ。僕は実際に、そのようにしてくれたオンナを体験しているのだ。僕は途中から、嬉しさよりも申し訳なさが先立つ気分で、「もういいかげん、しんどいだろ?いいよ、もう十分だよ」と言ったりもしたのだったが、彼女はいっかな手と口を休めるつもりのない様子。それどころか笑顔を僕に向けて、「だって、気持ちよくなってくれたら、やっぱ嬉しいじゃない?」とさえ言ったのである。そのようにされて、その彼女をいとおしく思うなといってもムリというものであろう。

そこまでされたら、彼女のことをいとおしいと思ってしまうのは当然のことである。こういうと、僕のことを性欲大魔神みたいに思って軽蔑する人もいるだろうけど、もうそういう人は僕と縁がないのでしょうがない。そういう人にはたっぷり軽蔑してもらうとして、僕は僕の思うところを書き述べよう。

一時間の「好きです」よりは、一時間のフェラチオのほうが強力だ。ところが、実際にはこの正反対をやっていくべしとするオンナもいるから不思議である。彼女らは、やりすぎるとウザがられると怯えているのに、結局は十分やりすぎといえるぐらい、「好きですメール」を送ったりする。一方で、無事その彼と付き合うことになったとなると、「フェラチオは、正直あんまり好きじゃないんです・・・それでもやっぱり、やらないといけないんですかねぇ?」と言い出したりもするのだ。もちろん、フェラチオがキライなのは個人の個性のことなので、それはそれでいいのだけれども、なぜかそういう人に限って、自分の愛情は強力だと思い込んでいる傾向が高いから不思議なのである。

あなたがもし、フェラチオはキライだけど、「好きですメール」を送るのは好きだとしたら、あなたは自分の愛情が強力だと思うなかれ。それは独りよがりの思い込みである。僕はこのことを胸を張って主張しなくてはならない。なぜなら、そうしないと一時間も丁寧にフェラチオを続けてくれたそのオンナに僕として申し訳が立たないから。

さて、あなたの彼に対する愛情は、どっちの方向に向かっているだろうか。もちろんそれは、フェラチオがどうこうという話ではなくて・・・。


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恋愛感情としての好きとかキライとかの、はるか手前のところに、フツーの好きとかキライというものがある。これは、当たり前のことだ。そして、そのフツーの好きというところでつまづいて、フツーにキライと思われたら、その先には進めないことになる。これも、言ってて馬鹿馬鹿しいぐらい当たり前のことだな。

あなたが彼に接近するとして、まずは、フツーに好き、というところまでは合格しなくてはならない。ここでコケるようでは、はっきりいって予選落ち、いくら恋の知恵とテクニックに造詣を深めても意味のないことである。たとえてみれば、受験勉強をするにしても、電車に乗って受験会場までたどり着けるだけの脳みそが無ければ無意味という具合に。(たとえが極端だな)

フツーに好きになってもらうためには、どうしたらいいだろうか。それはとてもシンプルなことで、「相手の立場に立って考える」ということさえ出来ていればいい。

相手の立場に立って考えるということ、これは一般的には小学校二年生ぐらいで習うことだが、このことをうっかり失念している大人はけっこういるものだ。特に、恋をしている人はそう。

そういう人は、フツーにキライ、と彼に思われてしまう。


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サイト経由で、僕のところにはたくさんのメールが届く。その9割は女性からで、またその9割は、「このコはきっとかわいいコに違いない」と思わせる書き方のものなのだけれども、残りの一割はそうでないやつもあったりする。

そういうのは、大体こんな感じで書き綴られている。

>TITLE : こんにちは☆

>恋愛相談ではお世話になりました。毎回参考になる意見を頂きありがとうございます。ちょっとその話の続きを、ここでしてよいでしょうか。実は先日、彼からまた電話があったのです・・・(中略)・・・彼はどういう気持ちなのでしょうか?

これを受け取った僕は、まず「てゆうか、アナタは誰でしょう?」と思う。しかも、僕のアドレスには迷惑メールも一日50通ぐらい届くから、タイトルが「こんにちは☆」だけでは間違って削除されてしまうこともあるのだ。だから僕は、「名乗ろうよ、で、わかるようにタイトル書こうよ」と思うのだけど。

僕はそのほかにも、「まず書き出しに、『○○さんへ』って書こうよ」「参考になるって、『参考』って言い方は失礼じゃないかい」「どういう気持ちなのでしょうかって、それは僕がガンバって答えなきゃいけないのかな。こっちもぼちぼち忙しいんスけど」と思ったりもする。

そんなわけで、僕はこういうメールを受け取ると、まず単純に、「言葉尻だけ慇懃で、根本的な礼儀がなっちゃいないのう」と感じる。そして、さらにもっと深刻に、「相手の立場に立って考えるってことが、ホントに出来ないんだろうなぁ」と思う。こんな調子じゃ、誰にどうやって接近を試みても、結果的にはキツいと思うよ・・・とも思いながら。

こういうところが出来てないと、フツーにキライ、と彼に思われること間違いナシだ。ちゃんとしましょう。

っても、僕に届くメール、その大半は、気持ちのいいものなんだけどね。許可を得て、もらったメールの一通を転載しときます。

>TITLE : 九折さんへ☆

>九折さんへ。先月に恋愛相談でお世話になりました、○○と申します(もし覚えていてくださったら光栄です!^^;)。突然のメールで失礼します。その節は本当にお世話になりました、九折さんが、お忙しい中にも関わらず、丁寧にお話しくださったことに本当にわたしは救われたので、ここで改めてお礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。
>あれからのこと、少しお話しますね。自己紹介も、少しまじえる感じで。(・・・中略・・・)
>厚かましくもまた九折さんに甘えることになってしまいますが、もしお手すきの時間がありましたら、簡単にでも御返事がいただけたら嬉しいです。ではでは、お体に気をつけて。サイトの更新を楽しみにしております。乱文にて失礼致しました。

・・・まあ、これがフツーだよな。フツーに、相手の立場に立って考えられた文面。

このフツーが出来てないと、フツーにキライ、と彼に思われてしまいます。(あたりまえ)


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>彼をデートに誘うのって、どうやって誘えばいいんでしょう?男心がわかりません・・・(>_<)。やっぱり、ストレートにいくのがいいんでしょうか?

このように言う人は、何か根本的な勘違いをしている。その勘違いはどこかダイナミックで、僕はなんだかそれを修正しようという気を失ってしまう。そのダイナミックさは、そうだな、例えば「液晶テレビを買いたいんですが、どのテレビ局がいいんでしょう?液晶とプラズマの違いがわかりません・・・(>_<)。やっぱり、日テレとかがいいんですかね?」と言ってるような感じ。聞いている僕の側としては、唖然として言葉を失ってしまう具合なのだ。

デートに誘うのなんて、それこそフツーに誘えばいい。例えば、彼を映画に誘う、まあ僕はデートで映画ってのはあんまし良くないチョイスだとも思うのだけど、それはひとまずおいといて、とにかく彼を映画に誘うとして。そのことについての相談が僕に向けてあった、という形で話を進めよう。

>例えば、こんなのでいいんでしょうか?
>「来週の土曜日、空いてますか?もし空いてれば、一緒に映画でも観にいきませんか?」
>なんだか、ものすごく直球のような気がするんですけど・・・。

こういうふうに持ち込まれたら、僕はこう答えるだろう。

>うん、それで別にいいと思うよ。それを、もう少し丁寧にする感じでいってみたら?

で、後日になって、こういう報告メールが届くのだ。

>思い切って、彼をデートに誘っちゃいました!!参考までに、文面を下にコピーしときます!!何かアドバイスがあれば下さい(>_<)!!

>こんにちは☆ひさしぶりです!!来週の土曜日、空いてたりしないでしょうか?もし空いてれば、一緒に映画にいってもらえたらな、って思うんですが・・・。どうでしょうか、また返信お願いします(>_<)!!

信じられないような話だが、本当にこんな誘い方をする人はいるのである。このような誘い方をする人は、やはり僕としては、「相手の立場に立って考えるってことが、ホントにできないんだなぁ」と思わざるをえない。一瞬でも相手の立場に立てば、「いや、そりゃイキナリすぎるだろ汗」って、二秒とかからず理解されると思うのだけど・・・。

メールを送るにせよ電話を掛けるにせよ、デートに誘うにせよベッドに誘うにせよ、そういうアクションをするときは、まず相手の立場に立って考えなくてはならない。そして、あなたが接近しようとする彼は、きっと昆虫でもなければ甲殻類でもない、れっきとした人間のはずなので、そこに男心がどうこうなどということを差し挟まなくてもいいのだ。人間のあなたが、人間の彼の立場に立って考える、それだけで十分である。

これもまた許可を得て、僕とある女性のやりとりを転載しておく。僕が彼女を、デートに誘ったときの話。(めんどうなので、顔文字は抜く)

>おはよ〜☆夢の中にハードゲイ(レイザーラモンHG)が出てきてビミョーな目覚めの九折です。夢の中に出てくるってことは、実は俺はハードゲイに憧れてたりするんだろうか。これからは履歴書の「尊敬する人」の欄に、ハードゲイと書くことにする所存・・・。○○ちゃんは、今もうガッコウかな?

>九折さん☆おはようございます〜。今日は大学お休みです♪前期は火曜日と金曜日、週に二回だけの出席なので。履歴書にハードゲイって書いたら、絶対面接落ちますよ(笑)。(わたしもビミョーに、レイザーラモン好きですけど)

>そっか、今日はお休みか。○○ちゃん、ガッコはたしか代々木だったっけ?

>そです♪代々木上原ですけど。

>代々木上原にはアレだな、知ってるかどうかわかんないけど、有名なショコラティエがあるよな?

>そうなんですか?というか、ショコラティエとはなんでしょう汗。

>チョコレート専門店、だな。チョコレート職人のことを指すこともあるけど。アレだ、○○ちゃんも、女の子としてはショコラティエぐらい知っておかねばなるまいぞ。
>そんなわけで、もし○○ちゃんがよければ、火曜日なり金曜日なりの空いてる日に、一緒にそこにケーキ喰いにいこうぜい。そこはベルギーのチョコを使ってて、ケーキが超イケてるというウワサだ。

>チョコレート専門店!いいですねぇ〜☆もちろんOKです♪今週は火曜日バイトあるんで、金曜日でもいいですか?学校は、四時には終わります。

>ん、じゃあ金曜日でよろしく。四時ごろ、代々木上原駅前に大集合で。

>はい、楽しみにしてます☆

以上。んー、我ながらまったくフツーの誘い方である。受ける側も、まったくフツーの受け方だけど。

とはいえ、このような誘い方も、そのフツーのレベルの中で一応は、相手の立場に立って考えるというようなことはしているわけだな。相手として、受け取って愉快なように、また返信のしやすいようにと工夫はしてある。(説明は要らないと思うので、しない)

デートに誘うなら、まず相手の立場に立って物事を考えましょう。男心がどうこうというのは、そこからだいぶ先の話です。


***


つまんないデート、というのが実際にある。それは、オンナとしてのあなたも体験したことがあるんじゃないだろうか。彼の話はイマイチ面白くないし、しゃべってても笑いがないし、こちらは話を引き出される感じがしないし、微妙に彼は自慢話モードに入ったりするしと、そういうデートだ。そういうデートはつまんない。そういうのはシチュエーションとかでカバーできるものではないので、たとえ六本木のオステルリーでイベリコ豚のステーキを食べつつマルゴーの90年を飲んでてもつまんないデートになるだろう。話が弾む、お互いたくさん笑い合う、それが楽しいデートの最低条件だ。自分をアピールしようとして一時間自分の話をしても、それははっきりいって自慢話的で相手からすればつまんない。つまんないどころか寒いというのがフツーだ。

楽しいデートをするためにはどうすればいいか。それもカンタンに言ってしまえば、常に相手の立場に立って物事を考えるようにしていればいい、ということになる。相手の話をしっかり聞いて、タイミングよく丁寧にあいづちを入れるとかして、彼が楽しく話せるようにすればそれだけでいいのである。これは基本動作みたいなものだから、できている人は当たり前にできているが、やっぱり根本からできてない人がけっこういたりもする。特に、女子高出身の人とか、いつも女の子だけで群れている人とかは要注意かもしれない。女の子が集まってきゃあきゃあ話しているアレは、ちょっとデートの会話とはルールが違うからだ。「女三人、寄ればかしましい」という言葉があるが、あのきゃあきゃあ話すときのルールはデートでは適用されない。きゃあきゃあ話すのはボールを三個使ったドッジボールみたいなところがあるけど、デートのときは基本的にキャッチボールのルールだから。ちなみに、「かしましい」という言葉は漢字にすると「姦しい」になるね。

楽しいデートにしたければ、話が弾む、そしてたくさん笑い合えるデートにしなければならない。そのためには、まず相手の話をたっぷり引き出すことが大事だ。

相手の話を引き出すには?それこそ、相手の立場に立って考えればわかることだろう。僕があなたの前で、腕を組みながら時計をちらちら見たりして、「・・・ふーん」と生返事を繰り返したら、あなたは話しやすいだろうか。

人に聞かせるほどのものでもないけど、僕とある女性のデートでのやりとりを転載しておきます。僕はこの彼女に、ずいぶん話を引き出されてしまった。

「九折さんって、どういう音楽聴くんですか?」
「むむ、それがイタい話、昔のヘヴィメタルとか聴いてるんだよな」
「へ、ヘヴィ〜メタルですか!さすが九折さん、音楽もフツーのは聴かないんですね笑。ヘヴィメタルって、例えば何ていうアーティストですか?」
「ぜったい知らないと思うけど、ジューダス・プリーストとか。ジューダスって、ユダのことね」
「ユダの僧侶。・・・もうその名前だけでも、かなりキテますね笑」
「そりゃもう、ボーカルのロブさんとか、5オクターブ出てるから笑。声っていうか、もう音波だから。ギターもドラムも頭オカシイし。音の洪水みたいな音楽だよ」
「あはは。でも、なるほどですね。音の洪水。そういう音楽の聴き方もあるんですね。なんか、九折さん的です笑」
「それは、喜んでいいんだろうか笑。○○ちゃんは、どんなの聴くの?」
「あたしですか?あたしはほんと定番ですけど、aikoとか、ミスチルとか。夏は古いザサンとかも聴きますね」
「サザンか。サザンはいいよな〜!『忘れられたBigwave』って知ってる?」
「あ、知ってますよ。あーれーから十年も〜、わすーれーられたーBigwave〜ってやつでしょ?かなり古い曲で」
「そうそう。アレはいいよな。出だしから、想像力を爆発させにくる」
「想像力の、爆発。・・・また、そそる言い方をしますね笑。それって、どういうことですか?」
「アレね、Bigwaveってのは、サーファーの連中がうっとりとイメージしながら使う言葉なんだよ。波頭が砕けるぐらい背の高い波で、サーファーとしては『キターーー!!』って感じの波なんだ」
「そうなんですか!?Bigwave、あたしなんとなくのイメージでしか思ってなかったです」
「そう、そこが大事なとこなんだよな。ここでBigwaveって言葉をサーファー用語として捉えられると、歌の構造が変わってくる」
「ふんふん」
「『あれから十年も忘れられたBigwave』、ってことはさ、十年後にも思い出されるような、伝説に残るようなBigwaveがその時に来たんだよ」
「なるほど」
「で、それがなぜか、十年間忘れられてたわけだ。そして、それが今思い出されて、『心に揺れてるあの日の夢』とつながることになる」
「おー」
「十年の時を経て想起されるBigwaveって、ただごとじゃないよね。俺はそのことだけで、もうゾクッとくるよ。で、そこまでイメージが膨らむと、その先に続く『渚に立てば二人だけのBigwave』ってのも意味合いが違ってくると」
「あ、すごい!なんかイメージが広がってきちゃいましたよ!」
「ね、何か背景に、ただならぬ巨大な物語を思わせるでしょ。そこがもう鮮烈なんだよ」
「確かに!そっか、ちゃんと聴けばそういうことを歌ってるんですね〜!てか、なんで九折さんは、そんなにこうスルドイ観察というか聴き取りができるんですか?そういうのって、ほんとにうらやましいんですけど」
「そりゃ、年寄りだからだよ笑。年の功ってやつ」
「いやいや、そういうのはむしろ若いっていうか、繊細なんだと思いますよホントに。あたし帰ったら、ぜひもっぺんちゃんと聴いてみます。あ、それと今度よければ、カラオケ一緒に行きましょうよ。九折さんが歌うの、聴いてみたいです」
「カラオケ?いいね、久しぶりに。別に今から行ってもいいけど」
「ほんとですか?今から行っちゃいます?確かに、今行けば安い時間帯ですけど」
「うん、そだね。じゃあ行っちゃおっか。っても、俺がサザンとか歌うとサザンに対する冒涜みたいになるけど」
「あはは、冒涜って」
「Bigwaveというか、土石流?みたいな歌になるよ」
「あはは、ドセキリュウ笑。いいですよ、あたしも似たようなもんです笑。ヘボ同士でいきましょう」
「だな。まったりカラオケでいくか」
「はい」

・・・長くなった上に、あまりにフツーの会話すぎて転載するほどのものでもなかったかもしれない。まあでも、このコは話をちゃんと聞いてくれて、またリップサービスが利いてて、お話していてとても気分のいいコでした。デートの帰り際、ずいぶんたくさん話したなぁという印象だったことを思い返したりもしましたね。それはすなわち、聞き手の彼女に実はリードされてたんだということで。

こういうことが大事です。こういう部分のリズムは、生返事一発でアウトだったりしますね。

そんなわけで、彼の話を引き出すのはカンタンなことです。相手の立場に立って考えさえすれば。


***


恋愛のやり方はいろいろあるだろうけど、僕の場合は「付き合う」より前に「キス」があることが多かった。「付き合う」が決まってからキスというのは、無かったわけではないけれど、割合として少なかった。付き合ってもないのにキスをするのはふしだらだと言う人もいるかもしれないけれども、まあその点僕は実際にふしだらなのだからしょうがない。さらにぶっちゃけて言うと、「付き合う」より前に「セックス」がある場合も、ある年齢からは多くなった(やっぱりふしだらだ)。今考えてみれば、セックスが合う合わないも分からないままに付き合うというのは、それはそれでリスクのあることだよなとも思われたりするのだけど・・・。まあこの辺は、個々人の主義と年齢によるところだろう。

誰でも好きな人とはキスをすると思うけれども、そのキスのやり方というのは人それぞれだ。これは他人がどうしているか具体的なところは話の聞きようがないところなので、案外個々人のクセやパターンがそのまま保存されて、まったく人それぞれ個性の豊かなところになっている。もちろんその中には、素敵なキスとそうでないキスがあるわけだけれども。

キスというのは唇を重ねることだから、そのことについては誰だってやることは同じ。しかし、その同じことをする中で、しっかりキスを返してきてくれる人と、そうでない人がやはりいる。キスを返さないというのはどういうことかというと、こちらから唇を重ねていくと、それを受け入れはするものの、そのまま凍結したように動かないということだ。そういうのは、こちらからすると悲しい。唇を一方的に試食している気分になってしまう。

こちらから唇を重ねる、それは男性の側がリードするものではあるけれども、それを受け取ってからはあなたとしてもじっとしていてはいけない。唇を重ねたからといって魔法が起こるわけではなく、それは唇を使ったコミュニケーションに過ぎないのだから、やりようによっては無愛想なキスというのもありうるのである。ここにおいても、「じゃあどういうキスをすればいいか」という話になったとして、それもやはり「相手の立場に立って考えればわかる」と僕は答えることにしたい。あなたに唇を重ねてきた彼は、別に性欲のあまりに唇をむさぼりに来たのではないのである。彼は唇を通じてあなたと心をつなぎたがっているのだから、あなたはその彼の立場に立って、それにふさわしい振る舞いを返せばいい。あなたのほうから唇を挟み返す、空いている手で彼の身体を抱きしめる、両手で彼の頬を挟む、などなど。

あなたがまだ幼さの残る年齢で、またそういうことをするのに不慣れだとしたら、それはある程度やむを得ないことだとは思うのだけれども、キスを交わす緊張の中であっても、できる限りは相手の立場に立って考えるということを放棄してはならない。それによって、興ざめなキスになることは確かにありうるのである。キスを受けたら、その感触と意思自体が彼からのメッセージなのだから、あなたからも彼を喜ばせうるメッセージを返そう。彼の唇が、あなたの唇からスライドされてあなたの首筋に当てられたら、ちょうどあなたの目の前にも彼の首筋が差し出されるはずである。その時は、あなたも彼の首筋にキスをしよう。それはその段階ではテクニックをまったく必要としないキスだから、あなたはただ気持ちだけを彼の皮膚に染み込ませるつもりでキスすればいい。(この首筋のキスがあると、とても嬉しい。僕の場合は)

キスを受けたら、キスをちゃんと返しましょう。

余談だけれども、このキスについて、僕はある女に感動させられたことがある。デートの帰り道、冷えた身体を癒すのに自動販売機でココアか何かを買った折。お互いに了解の空気が流れて、ごく自然にキスをした。彼女はそういうことに不慣れだったので、彼女の身体は明らかに寒さを超えてガチガチだったけど、ひとまず唇をやわらかくして、またかすかにその唇を開いて、僕の唇を受け入れてくれた。が、その時、その彼女はそのキスを受けてから、ふいにそれを一旦外しもした。あれ、とはぐらかされた僕に向けては何も言わず、彼女は一歩退いて、そこからぐいと僕を引き寄せた。そこからはさすがに彼女としてリードはできない様子だったので、僕は要領を得ないままに、また改めて僕からのキス。で、そこで改めて唇を重ねてから分かったのだけれども、彼女は背が小さくて僕とは身長差のありすぎることから、僕の体勢に無理がかからないように、道路の縁石の上に立ってくれたのだ。五センチ身長が高くなった彼女にキスをする、すると確かに僕は、先ほどのように腰をかがめて顔ごと横に差し込むような無理をしなくてすむようになった。僕は彼女と、初めてにしてはしつこすぎるぐらいのキスをしながら、なんてやさしいコなんだろうとこっそり感動したのだった。おっかなびっくりというふうに、それでもあたたかい舌先を、申し訳程度に僕の唇に差し込んできてくれる彼女の気持ちを受け取りながら。

というわけで、余談でした。にしても僕の話は、なんでこうも、エロい系になってしまうのだろう。書ききれてないけど、とにかくそのコはすごくやさしいキスをくれたコだったのです。

キスをするときも、相手の立場に立って考えるようにしましょう。


***


ここまで書き述べてきて、まあなんと当たり前のことばかりを書き連ねているのだろうと自分で半ば呆れる気分である。相手の立場に立って考えるってのは、やはりそれだけ当たり前のことなのだ。とはいえ、この当たり前が、できていない人は実際にいるわけで・・・。

そういう人も、いつか必ず、できるようになるんだけどね。ただ、それに気づく機会がまだやってきていないだけで。

だからこうやって、僕は懲りずに話している。

さて、キスをした後は、いつかきっとベッドに入ることになる。そしてベッドの上でも、素敵なセックスとそうでないセックスはあるのであり、素敵なセックスをするためには、やはり「相手の立場に立って考える」ということが必要になる。具体的なことについては、ほとんどが先のキスの話と同じ。キスを受けたら、キスを返す。服を脱がされたら、こちらも彼の服を脱がす。愛撫を受けたら、愛撫を返す。微笑みかけられたら、微笑を返す。それをしないと、コミュニケーションは不成立、彼は気持ちを冷やしていく。そこをまずはちゃんとするのが基本になるだろう。受けたら、こちらも返す。セックスというのは、彼のペニスを受け入れて射精が済むまで寝転んでいる行為のことではない。セックスとは、お互いを身体ごと慈しみ合いましょう、ついでに恥も外聞も二人きりのことなので忘れましょうと、そういう営みのものだ。

セックスについて具体的に言いすぎるといやしらくなるし、また僕もそこまで自信があるわけじゃないので、あまり細かくは言わないでおくことにする。とにかく大事なのは、相手の立場に立って考えること。言い換えれば、あなたはオンナとして、ベッドの上では彼にこう愛されたいというイメージがあるはずだから、あなたがそれを彼にそのまましてあげればいいということだ。オトコとオンナで、身体の一部は違っても、そういう気持ちの本質はさしたる違いも無い。あなたがされて嬉しいことは、たいてい相手も嬉しいものだ。

冒頭に話した、僕に一時間のフェラチオをしてくれたオンナの話をしよう。彼女は僕をベッドに仰向けに寝かせたまま、義務的なそれの気配はまったく見せず、それどころか常に満足気な微笑みさえ浮かべて、手抜きの無い愛撫を続けてくれた。それも、強弱のリズムをつけて、かつ時には僕を果てさせないようにコントロールして、徹底的に僕を悦ばせようとしてくれたのだった。そこまでされて、胸を打たれないオトコは人間としてありえないだろう。だから、あなたももし彼の胸を打ちたければ、そのように一時間ずっと愛撫をしてあげればいい。(っても、なかなかできることじゃないよなぁ)

その彼女の場合、さらに素敵だったと僕として言いたくなる点として、彼女として思うまま愛撫するのではなく、ひとつひとつ僕の反応を窺いながら、時には「こういうのはどう?」「これは痛くない?」と問いかけながら、それをしてくれたということもある。彼女はまた、どういうふうにしたらもっと気持ちよくなる?というようなことを何度も僕に尋ねて、それを取り入れようともしてくれたのだ。僕はそのような彼女にやはり胸を打たれながら、そうやってひとつひとつ教えてもらおうとすることも大事だよなぁ、と再確認した。相手の身体のことなのだから、自分の思い込みでエイヤコラサとアタックするのはあまりいいことではない。相手の反応を見る、また相手に素直に尋ねる、そういうのも、丁寧さのひとつだと僕は思う。これを怠ると、やはりどこかで独りよがりになってしまうだろう。(気をつけよう、と僕は思っている)

セックスというのは、お互いを慈しむためのものだ。だからあなたは、彼を慈しみ、悦びを与えなくてはならない。そのためには、まず自分がされたら嬉しいだろうことを、彼にしてあげる。そして、彼の反応を見ながら、さらにどうすればいいかを聞いてみる。それがセックスというもので、僕として思うには、このセックスにおいてこそ、「相手の立場に立って考える」ということが、いよいよ極大を迎えるのでもあるのだ。相手を悦ばせることに、主軸を置くということ。アゴがおかしくなるまでフェラチオを続けてくれた彼女は、実際、純粋に僕を悦ばせることしか考えていなかった・・・。

恋愛の行き着くところにセックスがあるのは、もっともなことだと思う。独りよがりでない気持ちの交流が、高揚と安心を与えて、関係をセックスへと導くのだと思う。この人となら慈しみ合える、と僕たちはどこかで確信して、その人とセックスしたくなるのではないだろうか。


***


メールを送り、デートに誘い、楽しいデートをして、キスをし、セックスをする。その恋愛の進みゆきの全てのシーンで、一番大事なのはやはり「相手の立場に立って考えること」だ。恋愛が、成る成らない以前に「うまくいかない」という人は、この部分がどこかズレているのではないかと疑われるところ。僕としては、確信さえされるところでもある。

あなたが、もし今のところ恋愛についてうまくいってないとしたら、あなたとして「彼の立場に立って考える」ということが十分にできていないのではないだろうか。そのことを疑ってみるのは常に有益だ。それぐらい、相手の立場に立つというのは難しいもので、特に恋をしているときはとても難しいものだから。

あなたがこれから彼にどうやって接近するにせよ、彼の立場に立って考えるということを忘れなければいいと思う。僕として危惧するのは、あなたには今、次のようなことばかり思われてならないのではないかということだ。それは彼の立場に立つということから、真逆にある発想。彼のことを考えることと、彼の立場に立って考えることは、似ているようで正反対だったりする・・・。

「彼はわたしのことをどう思っているんだろう」
「彼に会いたくて、胸が張り裂けそう」
「魅力的な女の子と思ってもらうためには、どうアピールすればいいだろう」
「なぜ折り返しの電話がかかってこないのだろう」
「この気持ちを伝えるのは、やっぱりメールではよくないだろうか」

あなたがこのような気持ちに支配されていたら、あなたは彼の立場に立って考える余裕を既に失っている。あなたには、彼を楽しませ、悦ばせ、慈しもうという気持ちが無い。あなたは自分の気持ちだけですでに張り詰めていて、平たく言えば、「それどころじゃない」という状態だ。そのままでは、彼にとってフツーの好き、というところにさえたどり着けないかもしれない。

だから、それよりはこう考えているほうがよっぽどいい。

「彼とセックスできたら、そのときは一時間でも二時間でも、フェラチオしてあげよう」

さて、あなたはどう思いますか。一時間でも二時間でも、彼に自分の気持ちを切々と語り続けるのと、一時間でも二時間でも、フェラチオをしてあげるのと、どちらが彼の気持ちに届くか・・・。







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