恋愛偏差値アップのコラム









話しかけるための、心技体





話しかけることで、全ては動き出す。引っ込んでいたら、全ては過ぎ去ってしまう。誰でも知っている、シンプルな真理だ。

ところが、この話しかけるという行為は、けっこう難しい。話しかけりゃいいってもんでもない。それは、将棋の第一手みたいなもので、先々につながっていかなくちゃいけないものだ。だから、それはそれなりに緊張するものだし、緊張したらさらにうまくいかなくなる。

話しかけるという、当たり前の行為、それについて改めて考えてみようと思う。シンプルなこの行為の裏側にある仕組みを、心技体の視点から考えていこう。


<話しかけるための「心」 其の壱 無心>

誰かに話しかけるとき、無心のときはうまくいく。力んでいるときは、うまくいかない。だから無心がいい。

とまあ、そう単純なものではないが、話しかけるときには、相手になにも期待しないほうがいい、ということだ。

あなたが恋焦がれるあの人に、思い切って話しかけたとする。

「サッカー、日本、負けちゃったね」

そのときに、あなたが、その人との楽しくはじける会話を期待していたとすると、あなたの声には気軽でない何かがこもるだろう。その印象は、相手にとっては、怪訝なものでしかない。そういう些細なクエスチョンマークは、会話の命であるリズムを奪ってしまう。となると、彼の返答は、

「え?ああ、うん、そうだね」

となって、そこで会話は打ち切りになってしまう。いわゆる、間が悪い会話になってしまうだろう。

彼と仲良くなろうと望むのは当然のことだ。しかし、会話のときは会話に集中しないと、言葉がうわっすべりして、会話が途絶えて本末転倒になってしまう。サッカーの話をしたなら、その瞬間だけは、サッカーのことを考えるのだ。そして、彼が「ふーん、そうだっけ」といっても、気にしない。そこにリズムがあれば、「なんか冷めてるしー」と、話はつながる。

期待せずに、会話すること。無心が大事だ。


<話しかけるための「心」 其の弐 兄弟愛>

兄弟愛とはこれまたおおげさだが、これは、人を分け隔てしないということだ。
別の言い方をすると、あなたが恋する彼に話しかけようとする一方で、他の人にも話しかけようという態度をもつことだ。

自明のことだが、今まで誰にも話しかけたことのない女の子が、つかつかと彼の席まで歩いていって、サッカーの話をしたら、それはいかにも不自然だ。話しかけられた彼も、対応に困るだろう。

誰に対してでも話しかける、兄弟愛の姿勢を持つ人であれば、彼に対して話しかけることもごく自然な行為になるのだ。そこに異性愛が入っていても、それはあなた自身にしかわからない。ところが、兄弟愛の姿勢なしに、突然異性愛のみに基づいて行動すると、目立って不自然になる。

だから、日ごろから周りの人に優しくし、話しかけておくことが、彼に話しかけるときの下地になるのだ。

その下地づくりは、今からでも遅くない。兄弟愛の姿勢を持つことが大事だ。


<話しかけるための「心」 其の参 度胸>

どこまでいっても、最終的には、「あなたに興味があります」ということを伝えなくてはならない。しばしば、そこを避けてまわって、機会が過ぎていく場合がある。それは、乙女心というよりは、恥をかくことをおそれる臆病だ。また、この臆病は、かつて自分がした仕打ちがもとになっていることがある。かつて、自分に好意を持ち話しかけてきた人を、なにこいつ、という冷たい視線であしらったことがある人は、自分がその立場に立つことを恐れるものだ。

「あなたに興味があります」と示すこと。そこを避けて、先には進めない。どこかで、最後は度胸だ、と思っておくことが大事だ。



<話しかけるための「技」>

話しかけるための技には、5つある。挨拶、尋ねる、報告する、頼みごとをする、何かに誘う、だ。

話しかけるのが難しい、なにを話せばいいのかわからない、という人はよくいるが、これは厳密に見ると話がごちゃごちゃになっている。「話しかける」のと「話をする」のは、違う行為だ。話しかけられない、と思っている人の中で、彼のほうから話しかけられてもやっぱりちゃんと会話できない人だっているだろう。それは、正しくは「話しかけられない」ではなく、「うまく会話できない」ということだ。それはまた、別の問題になる。

とまあそれはさておき、あくまで「話しかける」ための、5つの技。

「挨拶」
あたりまえのようでいて、使いこなすのは難しいのが、挨拶だ。彼とばったり会ったときでも、アードモとかオーとか、挨拶未満の声を出さずに、ちゃんとした挨拶から天気の話までできるようになること、それが挨拶の技だ。

「尋ねる」
これは、簡単な技だ。街を歩く警官にだって、話しかけることができる。
しかし、これは単体ではあまり効果がないので、他の技とのつなぎが必要になってくる。

「報告する」
これは、話題を提供する意味で、大きな効果をもつ技だ。「昨日映画館で、『トロイ』観てきたよ」というのは、その後の話につながりやすい。

「頼みごとをする」
忘れられがちだが、「お願いがあるんだけど」という第一声は、話しかける方法の一つとしてかなり有効だ。使いどころを間違えなければ、話しかけるだけでなく、次のきっかけにもつながる。

「何かに誘う」
これは、誘うことを目的としたものではなくて、話しかけることを目的にした誘いだ。つまり、来週のデートに誘うわけではなくて、「夏休み、皆で花火観にいかない?」と切り出す技だ。誘う内容は親密なものでなくていい。あくまで話しかけるきっかけのものとしての技だ。

以上、5つの技を考えてみた。技というか、普段何気なくしている会話の切り出しを分析したら、そういうことが見えてきたということだけども。

この5つの技を使えば、とりあえず、話しかけることはできる。

「あ、かよさん、@こんにちは。梅雨を通り越して、夏ですねこの暑さは。Aなにか買い物ですか?いやB僕のほうは、また今日も飲みにいくんですけどね。昨日も泥酔したのに。あ、もしよければ、Cこのへんでおいしい店教えてくださいよ。Dこんど僕も連れて行きますから。泥酔に最適な店。」

この5つの方法を意識していれば、話しかけるきっかけは、いずれ見えてくるだろう。



<話しかけるための「体」 其の壱 横に立つこと>

話しかけるとき、お互いの物理的距離が遠すぎると、大声をださなくてはいけないので、話しかけづらい。かといって、近づきすぎると、不自然になる。

恋愛心理学の中でも書いたが、人間の心理的バリア、パーソナルスペースは、本体を中心に、タテ長のひし形をしている。だから、特に正面は避けて、横に立って(座ってても同じ)話しかけるようにする。ようは、自然な距離で、自然な声で話せる状況にするのが大事だ。


<話しかけるための「体」 其の弐 彼のリズムにシンクロすること>

リズムの違う人には、話しかけにくい。早足で歩いている人には話しかけにくいし、大笑いしている人に、すいません、と話しかけるのは不自然なものだ。だから、彼のそのときのリズム、ぼんやりしているのか、はしゃいでいるのか、それをよく見て、自分のリズムを合わせて話しかけることが大事だ。



以上、話しかけるための心技体、を考えてみた。あなたに好きな人がいて、話しかけたくてもなかなか話しかけられないというのであれば、なにが足りていないのか考えてみてほしい。また、話しかける「機会」がない、と思っている人も、今の環境で話しかける方法が本当にないかどうか、もう一度考えてもらいたい。

もしなにか発見があって、あなたが話しかける方法をひとつでも新しく身につけたなら、あなたの人生に大きなプラスになるだろう。





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