恋愛偏差値アップのコラム









「寸止め告白」というテクニック






最近、いくらなんでもコラムが長くなりすぎである。これは自覚するところ、僕が大江健三郎を読んだりしているせいなのだ。ちょっと今回は気持ちを変えて、もっと短く闊達に話そうと思う。

「告白」について、ふと思うところがあった。僕として当たり前に思う、ある種の告白の仕方があって、いつぞやその告白の仕方について友人に話したときに、「そうか、そういうやり方があるか」と友人から納得と賞賛を受けたことがある。そういえばこのことを話してないなぁと今になって思い出されたので、そのことについて話すことにしよう。あなたに想いの彼がいて、その彼との関係がうまく進まない、でも告白しても玉砕するだろうなぁと思う、そういった状況であれば、これは一つのヒントになるかもしれない。

(そんなに目の覚めるような、たいした方法を提示できるわけじゃないけどね)


さて、僕たちは好きな人に告白するわけだけれど、告白というのはざっくりと捉えて二種類の働きをもつ。

・相手に、恋愛感情としての「好き」を開示する
・「付き合う」という方向へ進みたい、と意思表示する

これはまあ、誰が見ても当たり前のところだろう。このような告白の働きから、僕たちは告白の言葉として、「好きです、付き合ってください」というような言葉を定型的なものとして捉えたりもしているわけだ。

しかしここで僕は、この二種類の働きのうち、後者の働きを発現させない告白というものを提案してみたいと思う。すなわち、「好き」の開示のみにとどめる告白というのがありうるのじゃないか、という提案である。

僕たちが好きな人に告白するとき、第一に恐れるのは、いわゆる「玉砕」のリスクである。告白したものの、二つ返事で「ごめん、その気になれないから」と言われてしまう、そのリスクを僕たちは恐れる。このリスクをヘッジして、告白の作用のいい部分だけを残す、そういう告白を考えてみよう。

あなたが彼に告白したとして、次の会話のようになったとする。これは、いわゆる玉砕だ。

「好きです、付き合ってください」
「ごめん、その気になれないから」

このような告白のシーンを期待している人はいまい。誰でも告白するなら、このような展開を避けたいと思う。

であれば、例えば次のような告白があったとしたらどうだろう。

「あなたのこと、本当にステキな人だな、って思ってます」

いくらか冗談めかす気配を持たせた、このような告白があったとして、どうだろう、ここに続く彼の言葉は、「ごめん、その気になれないから」となりうるだろうか。僕の感覚としては、彼からそのような言葉は出ないように思われるのだけれども。

「あなたのこと、本当にステキな人だな、って思ってます。わたし自身、気づかないうちにそう思うようになっちゃってて、このことをどうしても伝えたかったんです。恥ずかしいし、なんだか少しくやしいけど、本当にあなたはステキな人だと思ってます。やられちゃいました」

うん、このように言葉を実際にありうるものとして引き伸ばしてみても、この先に彼の「ごめん」はなかなか出づらいように、僕には感じられる。いかがだろうか。

この告白の仕方には、通常含まれる一つの働き、「だから付き合ってください」という訴えかけが入ってない。それだけに、相手からすれば「ありがとう」とは言えても「ごめん」とは言えないわけだ。もし彼が「ごめん」と言えば、それは彼の早とちりというか、一足飛びの回答になるだろう。こちらからは、付き合ってくださいとも何とも言っていないわけだから。(あるいは根本的に嫌われてるか・・・)

このような告白、「付き合ってください」という訴えの含みを持たせない告白は、考えてみればそう難しいものでもないのかもしれない。

「好きになりつつあるかも、だよ」
「誰かと付き合うとしたら、あなたが一位だよ、今のところ」
「好きです。もう少し自分が落ち着いてから、交際を申し込みにきますね」
「好きだよ。だからどうって、うまく言えないんだけど」
「血迷った。マジであなたがステキに見えるんだけど」
「彼女候補にエントリーしといて」
「あなたのことうっかり好きな自分が、修行不足に思えるよ」
「好きだよ、だからもう少し、あたしの相手もしてやってね」
「もう少しあたしが自由なオンナだったら、あなたを一晩遊ばせてあげられたんだけどな」
「あなたにときめいてる自分が納得いかないよ。帰ったら反省会だ!」

僕なりにテキトーにいくつか考えてみた。どうだろう、どれもこれも、冗談めかす余裕が必要で、カンタンに言えるかというとそうでもなさそうだけど・・・。

僕としてこのような告白を、「寸止め告白」と呼ぶことにする。

あなたはさて、今の想いの彼に告白するとして、どうするだろう。告白を、打ち込むか、それとも「寸止め」にするか・・・。

(余談だけど、アイディアに名前を付けるのは存外大事なことだな。名前をつけないと、僕たちはそれを一つの存在として認識できないもんだ。このことを「ラベリング」と言ったりもする)

あなたはオンナなので、「ウジウジしないで玉砕するぜ」というように、自分を固めなくていい。オンナはそのあたりしたたかに、彼を惑わせる策略を練っていいのである。もしここで、あなたが彼に告白するとして、この「寸止め告白」のようなやり方をやれるなら、これを作戦の中に盛り込んでもいいかもしれないと思う。好きだということだけ伝えて、付き合ってくださいという申し込みは思い切って保留しておくのだ。

そのような寸止め告白を受けた彼の側は、どのような心境になるだろうか。「そうか、あのコは俺のこと好きなんだ、それはやっぱりうれしいな」と、普通のオトコは誰しも思うところだろう。そしてそこから、彼はあなたのことをある特別な意識を持った目で見るようになるかもしれない。そのような特別な意識が彼の側に生まれてしまったら、状況はあなたにとって有利になる。あなたの呼びかけや、笑顔、あるいは逆につれない態度などが、彼にとって無関心なものでなくなりはじめるのだから。

寸止めで告白する。そのことで相手に自分を意識させ、そこから動揺させ、崩す。そのような作戦のためのものとしての告白があってもいいのかもしれない。


このやり方が、何かあなたのヒントになりますように。


(このやり方で、僕をからかったりはしないようにね。すぐ動揺するから)









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