第二講 積極性 /Quali,恋愛レクチャー集
問1.極
「極」について例をいくつか挙げなさい。
○解答
北極と南極、磁石のN極とS極、電池の陽極と陰極、など。
■解説
「積極」という前に、「極」を知る必要があります。互いに対極を持っていることに注目してください。
問2.消極的
「教師と生徒」について、消極的に述べなさい。
×誤答例
・授業はつまらないものである。
○正答例
・教師も生徒もただの人間である。
■解説
教師と生徒はそれぞれ、「教える側」「教わる側」の極を為しています。この極を消去して捉えることが「消極」です。消極すれば互いにただの人間です。
問3.積極的
「教師も生徒もただの人間」という消極を、図式[教師=生徒]と表します。
積極はどう表記されるべきですか。理由をつけて答えなさい。
×誤答例
・教師≠生徒。
○正答例
・教師×生徒。「積」は掛け算であるから。
■解説
教師と生徒のように、それぞれの極に分かたれること、それを本レクチャーでは「極の分化」と言います。極が分化されると、消極ではなくなります。
しかし、極が分化されただけでは、単に互いの断絶になります。積極というのは、分化した極が、互いに掛け合わされ、「積」を得ることを言います。ですから「積極的」です。
問4.男女の積極
「同じ人間として関わりたい」というのと、「男女として関わりたい」というのとでは、どちらが積極的ですか。極の分化と積極に基づいて説明しなさい。
×誤答例
・男女の性差を越えて関わろうとするほうが積極的だ。
○正答例
・男女は両極を為しており、この極を分化した上で積を得るのが積極的である。[男×女]。
■解説
同性と「デートする」という言い方には違和感があるはずです。それは同性同士では両極を為さないからです。極のないものを掛け合わせることはできません。
もちろん、人が人に接するとき、そこには常に自他の両極があるのですが、そこに積極を持つのは最終目標というべきで、もっとありふれたことから眼を逸らすべきではありません。
問5.積極の方法
ある男性から「週末に飲みにいこう」とメールが来ました。あなたはそれを受けるつもりです。「積極的」に受けるとして、あなたはどう返信するべきですか。極の分化に基づいて答えなさい。
×誤答例
・「うれしいです、喜んで行きます」とメールする。
○正答例
・「うれしいです、喜んで行きます。何時にどこでお待ちすればいいですか」とメールする。誘う側と、誘われる側の極がある。
■解説
返信文の両方をよく見比べましょう。受け取る積極性の感触はずいぶん違います。
積極は、掛け算ですから、あなたの極から「掛け合う」ことがそれになります。自分の極から掛け合う感触を掴みましょう。誘われる側の極からどう掛け合うべきか、考えれば必ずあるはずです。
▼復習ポイント
あなたが誘われる側になったとき、それは「受け身」ではありません。先手・後手のうち「後手」の側です。後手は「ボーッとしている側」ではないことを確認しましょう。
問6.積極の方法2
男性とデートしていたところ、彼が手荷物を持ってくれました。「積極的」には、あなたはどうするべきですか。答えなさい。
×誤答例
・「ありがとう」と凛々しくお礼を言う。
○正答例
・彼の後ろからそっと腕を組む。
■解説
男性が女性の荷物を持ったとき、庇護する者・庇護される者の両極が立ち上がります。あなたは「庇護される者」の極から、掛け合いを考えていきます。
「ありがとう」と凛々しく礼を言うのは、マナーには沿いますが、庇護される者の極ではありません。
問7.積極の方法3
アルバイトの店員が接客の仕事をしています。彼はふとお客を目に留め、新しいおしぼりをお持ちしましょうか、と提案しました。彼は仕事に積極的に見えます。なぜですか。答えなさい。
×誤答例
・彼の仕事は接客で、彼はそれに熱心だから。
○正答例
・彼は店側の極に立ち、客側の極に対して掛け合っているから。
■解説
マニュアルで決められたとおりのことを真面目にしていれば、クレームは出ませんが、積極的という評価は得られません。それは店極・客極が断絶されているだけで、掛け合い、「積」を得てはいないからです。
また、友達同士として、新しいおしぼりを持ってきたところで、それは「積極的」とは言われません(気が利くねとは言われますが)。それは友達同士は極を為していないからです。
日常に使われる「積極的」の語には注意してください。たとえば「積極的に手を洗う」といっても、そうして手を洗う人について、「彼に積極性があるか」というと、無いのです。
問8.積極の方法4
あなたは彼にキスを求められました。あなたはそれが不快ではありませんでしたが、キスには躊躇しました。あなたが「積極的」であるとして、あなたはどうするべきですか。答えなさい。
×誤答例
・「ごめんね」と言い、自分の心境を説明する。あるいは積極的には、あきらめてキスする。
○正答例
・抱きつく。両腕に「もう少し待って」という力をこめる。
■解説
抱きついてしまえばキスはできませんね。ここには、求める側・求められる側という極が成立します。積極的には、「求められる側」からの掛け合いを考えます。
その、あなたの極からの、掛け合いの発明、やりかたが、あなたの個性であり、あなたの声なのです。
だからこそ、積極性を持つというのは、「怖さ」や「恥ずかしさ」という心理的な抵抗があります。
▼復習ポイント
「積極」という意味が、正しく理解されましたか。極の掛け合いを捉えましょう。
問9.積極からの逃走
あなたは罰ゲームでB君にラブレターを書くことになりました。罰ゲームでラブレターを書くのは、罰ゲームなしでラブレターを書くよりも気楽です。なぜ気楽になりますか。答えなさい。
×誤答例
・罰ゲームなら、本当の好意をごまかせるから。
○正答例
・ラブレターを「書く側」「渡される側」の極が存在せず、積極性をまぬがれるから。(罰ゲームにおいては「書かされる側」であり、これは「渡される側」と対極を為さない)
■解説
電車で老人に座席を譲るのは恥ずかしくありませんが、なんでもない他人に、「長い道中ですから」と席を譲ることには、恥ずかしさが伴います。それは、老人に席を譲るのはマナーとしてルール化されているものであるのに対し、後者のほうは自分の積極性でしかないからです。人は、その積極性の中にこそ、自分の本当の「声」が現れることを知っており、これを恥ずかしく思い、また怖くも思います。
ラブレターを書く場合でも、ラブレターの内容以前に、「ラブレターを書いた」というのが、一番のあなたの声になります。これがあなたを怖がらせ、恥ずかしい、という思いに駆らせます。ですから、例題の場合、それを「書かされた」ということであれば、恥ずかしさの一番の部分は消去されるのです。気楽になります。
積極性の全ては、怖さと恥ずかしさを伴いますので、怖さと恥ずかしさを突破しない限り、あなたは積極性を持つことはできません。
問10.積極からの逃走2
A子さんはB君とデートしていましたが、B君がA子さんに「あなたを抱きたい」と言ったところ、A子さんは動揺し、思いがけず冷たい声で「でも今日は時間ないから」と言ってしまいました。冷たい声が出たのはなぜですか。答えなさい。
×誤答例
・A子さんは結局、B君を愛していなかったから。友達でいたかったから。
○正答例
・極を「断絶」したから冷たい声になった。
■解説
A子さんとB君は、ここまで「積極」をしてきました。男女の極から掛け合いをしてきていたのです。けれどもB君がいよいよ男性極からの掛け合いをしてきたので、A子さんは、そこに自分の本当の声が出るのが怖くなり、また恥ずかしくもなり、とっさにこれまでの積極関係を、とつぜん断絶してしまいました。
問11.積極からの逃走3
A子さんは本来どのようにするべきでしたか。答えなさい。
×誤答例
・イヤなものはイヤだからしょうがないと思う。
○正答例
・「バカ」と言えばよかった。
■解説
つまり何でもいいのです。逃走せずに、自分からも何か掛け合うことをやめなければ。
交合を受けるか断るかは問題ではありません。
「積極」をやるのに、怖さと恥ずかしさが伴うことを確認してください。
▼復習ポイント
怖さと恥ずかしさを突破する必要が理解されましたか。
問12.まとめ
以下の空欄を埋め、選択肢は正しいものを選びなさい。
積極性とは、( )の( )である。関係ABの消極を図式[A=B]と表すとき、積極は[A( )B]となる。それは「積」極性だからである。
たとえば男女という両極について、男女などない、と見なすのは( )である。逆に、この両極をしっかり分けて捉えることを、( )という。
実際的には、それぞれが極に立ち、( )をする。ここに人それぞれの本当の( )が表れる。本当のそれが表れるぶん、人はそこに( )と( )を覚える。それゆえ、人はしばしば積極から( )する。その心理的抵抗を(1.理解 2.突破)するまでは、人は積極性を持つことができない。臆病に駆られた人は、多く極を( )する。
人が人に対するとき、常に( )の両極がある。ここに積極を持つのが最終的な積極性である。これが最終目標であるが、(1.最終目標以外に気を取られるべきではない 2.もっとありふれたことから眼を逸らすべきではない)。
○解答
積極性とは、(極)の(積)である。関係ABの消極を図式[A=B]と表すとき、積極は[A(×)B]となる。それは「積」極性だからである。
たとえば男女という両極について、男女などない、と見なすのは(消極)である。逆に、この両極をしっかり分けて捉えることを、(極の分化)という。
実際的には、それぞれが極に立ち、(掛け合い)をする。ここに人それぞれの本当の(声)が表れる。本当のそれが表れるぶん、人はそこに(怖さ)と(恥ずかしさ)を覚える。それゆえ、人はしばしば積極から(逃走)する。その心理的抵抗を(突破)するまでは、人は積極性を持つことができない。臆病に駆られた人は、多く極を(断絶)する。
人が人に対するとき、常に(自他)の両極がある。ここに積極を持つのが最終的な積極性である。これが最終目標であるが、(もっとありふれたことから眼を逸らすべきではない)。
あとがき.
「積極的」ということが正しく理解されましたか。多くの人は、「活発」を積極的と捉えていますが、間違いです。自分にはそれなりに積極性があるものだと、誰しも思っていますが、そうではない、それが気軽に出来るのは極が分化されていない中だけです。あなたは男友達には「バカ」と言えるでしょう。けれども、性交を求められたときに、受け止めて「バカ」とはなかなか言えません。
セクハラおじさんが、部下の女性にセクハラできても、街中の女性を気軽に口説くことはできません。それは彼が社内においては「自他」極の分化をしていないからです。赤の他人はさすがに自他極になりますので、彼は積極的になれません。
男女、教師と生徒、先輩と後輩というような、極の分化は、現代では衰退していっています。つまり「消極」的です。消極されると、積極はできなくなります。それで、あちこちから「積極的」な風景が消えていっているのです。
ともあれ、「積極的」を正しく理解してください。あなたはメールの返信をするのに、マナー違反はしないでしょう。けれども、それが気楽に出来るのは、積極性を入れていないからです。積極性とは、そのマナーの先の一声なのです。怖さと恥ずかしさを突破してください。
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