誠実とは、なんでしょう。
これは、考えれば考えるほど、定義ができないものです。
誠実、という点で、女性からまずリクエストが出るのは、「浮気をしないこと」が代表格です。すなわち、「誠実＝浮気しないこと」説です。
でも、本当に、それが誠実であるということでしょうか。
男性の中には、残念ながら、浮気をする実力（？）の無い人もいます。要するに、あまりモテない人です。そしてそういう人たちは、まず彼女がいるから他の女性から相手にしてもらえないと思い込んでいて、かつ、まあ彼女がいるからモテなくてもいいか、と、フヌケていたりします。
これも、浮気をしていない、という点では合格です。ですが、果たして「誠実」と呼んでいいものでしょうか。
また、男女共に、付き合っている相手に対して、冷たい打算を持っている人がいます。「結婚相手には向かないから、結婚はしないだろうけど、とりあえず付き合って三年になる。居心地いいから。」と言う人が、けっこういます。相手を見切りながら、とりあえず、と考えているのは、すごく残酷なことです。そして、結婚の時期とふさわしい相手がやってきたら、そちらに乗り換える予定を立てているのです。でも、浮気はしていないのです。これも、「誠実」といってよいものなのでしょうか。
はっきりいって、浮気をしない、というのは、異性に対して興味と情熱を失っているか、あるいはただの禁欲です。恋人に浮気をされると、自尊心が傷つきますし、二人の関係はかけがえのないものであるというのが幻想だったと悲しく思うことになりますから、その点に対して保証を求めたくなる気持ちは誰しもあります。でも、それは、誠実かどうかとは、実はあまり関係がありません。浮気はOK、と言っているのではありません。浮気をしていなくても、それ以上に不誠実なことはいくらでもある、ということです。
僕は、神様の前で胸を張れるほど、誠実ではありません。叩けばホコリの出る身です。
ですが、誠実と思われる部分も、ささやかながら、確かにあります。
僕は、大事な女性との思い出の場所を、他の女性と再訪したことは、生まれて一度もありません。なぜかというと、あの時あの場所で彼女が見せてくれた笑顔とか、話してくれたことは、僕の中で神聖なものになっていて、そこには誰も連れて行けないからです。それは、僕の中の本能のようなものになっています。がんばってルールを守ろうとして、そうするのではなく、そうすることしか自分にはできないのです。
また僕は、彼女がいる状態で他の女性にあったとき、彼女はいない、とウソをついたことも、ありません。色々と不利になるのはわかっていますし、わざわざそんなことバラすなよ、と男友達からは忠告されますが、「大事な彼女がいます」とはっきり言ってしまいます。それも、僕の中の本能です。そこでウソをつくことは、彼女に対して、またウソをつかれる女性に対して、あまりに低劣な侮辱を与えてしまうように思えて、僕にはできないのです。
それらの本能は、僕の中で犯しえないものなので、これまでずっとそうしてきましたし、これからもずっとそうするでしょう。それに比べると、彼女に一日一回は必ず電話するとか、キャバクラには行かないとか、そういうルール決めは、ものすごく薄っぺらなものに、僕には思えます。誠実というのは、もっと根の深い、犯しがたいものです。
何をもって誠実とするか、それは結局定義できないものです。誠実な気持ち、不誠実な気持ち、それはひとつひとつ個別で、また無数にあります。あなたも、自分の周りから、あるいは本から、映画から、本当に誠実な気持ち、実は不誠実な気持ち、を改めて探してみてください。
時にはそうして、「誠実」ということについて、薄っぺらに、表面的にでなく、誠実に考えてみてください。そうすることでいつのまにか、あなたの周りには、真に誠実な人が集まってくるものです。
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