No.118 第20回パーティは無事盛会!
↑ガールズトーク爆発。男らは隅に引きこもり。
↑みるくさんがコンビーフ料理をご披露。
実演販売の才能があります。
↑憧れの九折さんに興味なし。こっちを向いてもくれません。
↑なんでそんなに友達やねん(初対面)。
↑いえーい。小柄で超かわいかった今回のアイドルちゃん。
みんなしていじりすぎです。
↑見た目はエレガントレディですが飲むとバーサクします。
↑二人とも常連さん。これからもよろしく。
「ぶっちゃけ、ウチ今月で無くなります」
第二十回のパーティが無事終わった。参加者は十名で、男性が三名に女性が七名。女性が男性の倍以上だ。だからというべきなのか、今回のパーティは異様な盛り上がりを見せた。女たちはいつだって元気だ。男連中は、僕を含めだらしがない。
パーティもついに第二十回を終えたわけだが、二十回というとものすごい回数だ。何事にも粘りが無い僕のやることとは思えない。僕自身もこのパーティで、のべ何人の人と知り合ったのか、今ではもう数える気にもならない。
パーティという名の、愚にもつかない夜遊びを続けてきた。僕はいろんな人と知り合い、知り合った人のほとんどは、今どこで何をしているのか知らない。多くの人とは、もう二度と会うこともないだろう。いい人もいたし、変わり者もいたが、僕たちは知り合っては別れてを繰り返すしかなくて、そのことがよくよく見ると、粋で気分がいいのだ。
人間関係も大事だが、人間無関係というのも悪くない。いつか知り合ったきれいなあの子も、今頃どこぞで馬の骨にやられているのかと思うと、胸が焼けるようで愉快だ。僕だって、あなたの知らないところで、やりたいようにやって生きてみせるのだ。
「ぶっちゃけ、ウチ今月で無くなります」
会場として長い間利用させてもらってきた、大塚のバーBLADEのマスターは、いくらか言い出しにくそうに言った。閉店の理由は、テナント賃貸契約更新の折、家主と家賃等の交渉で折り合いがつかず、やむを得ずとのこと。考えうる限り野暮な、いけすかない揉め事の顛末だ。わからず屋の大家のせいですね、と僕が肩をすくめると、まったくそのとおり、とマスターは同じように肩をすくめた。
現世の物語を動かすには、いろんな原動力があるが、地主の強欲というような下劣な原動力が、今の世の中にはのさばってしまっている。経済原理と自由契約の精神は誰だって理解できるが、誰もそれを拍手して賞賛しようとはしない。僕はお金が汚いものとはこれっぽっちも思わない。ただ、汚い人間こそが、黒い熱意でお金をかき集めようとする、そのことが今の世の中を根本的に暗くしていると思う。
資産家はもう少し浪費してみたらどうかね。保身に走るばかりではなく。まったく、ケツの穴の小さい連中だ。
さてそのように、地主の低劣が僕たちの遊び場をひとつ奪うにしても、僕たちは意気消沈したりしない。意気消沈なんて根性ナシはもう前世紀に死滅したのだ。僕たちはことさらよく飲んだ。飲み放題を延長して、紺色のボトルは空になった。ラベルは簡素だが、グラン・クリュとこっそり書かれたシャンパーニュ。マナーもどこかに飛んでいけ、とマスターは大きな音を鳴らしてコルク栓を飛ばした。
今回でおそらく大塚の夜は卒業し、僕たちはもう二度と大塚で飲まない。次はどこで? 中野あたりにアテがないわけでもない、とマスターは嘯いてみせた。新しい店ができたら、サイトに宣伝を載せますよ、と僕は思い付きを吹いて安請け合いした。あたしはバイト先が中野ですから、店にチラシ置きますよ、と少女も一緒に安請け合いした。次回から、また新しい店で、なじみの人と飲めたらいい、と僕たちは無邪気に思った。
もちろんこの世知辛い世の中だから、こんな話がどうなることやら、未来はまったく定かではない。しかし未来なぞどうでもいいのだ。土曜日の夜は僕たちに珍しく、ささやかな夢があり、大塚のお店は思い出になった。これでよし、と僕は思う。いつだって元気な僕らは、過去の後悔や未来の不安をバカみたいにすっかり忘れて、根拠も無くただ肌触りで、これでよし、と確信するのだ。
これでよし!
第二十一回パーティは、3月15日(土)です。
場所は、未定です。
みなさまのご参加を心よりお待ちしております。
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九折より
[了]
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