No.347 パーティへの誘い その4
第四弾は変わり種で。
何かもう、本来の趣旨からどんどんズレてくるな。
まあいいや。
パーティに参加してくれる方で、つかごんくん、という、二十四歳の男性がいる。
僕が、ここ数年間、サンドバッグとして愛用している青年だ。
優秀な国立大学を卒業し、現在もちゃんとした東証一部上場企業に勤めている、まじめな男なのだが、僕がサンドバッグにするので、周りの人たちも「そういうものなのかな」という固定概念を覚え始めている。
人権の問題なのだが、なぜか、イルカ漁の問題よりも注目されない。
今回は、このつかごんくんから、パーティへの誘いについて、寄稿をいただいているので、これを紹介することにしよう。
完全に、彼からの、自発的な寄稿だ。今朝メールで送られてきた。
彼には、まったくそういう、突発的な能動性がある。
お前はあいかわらず、面白い、ヘンな奴だなあ、と返信しておいた。
パーティに参加していただけると、つかごんくんの、何がどうということもない実物を、見ることができます。
いかがですか?
なお、サンドバッグ料は現在、無料キャンペーン中です。
みなさまお気軽にどうぞ。
(ただし素手に限ります。ご了承ください)
***
◆パーティーへの誘い
こんにちは。つかごんと申します。24歳の平凡なサラリーマン男です。
特に誰から言われたわけでもないのですが、「パーティーに参加する人が増えて欲しい」と思って文章を書いてみました。
九折さん本人が宣伝するだけでなく、参加者が「いいパーティーだからぜひおいでよ」と言うことで、より参加しやすいんじゃないかと思いついたので。
書き始めてさっそく、「何を書いていいかわからない」という問題にぶちあたっております。
とりあえず、私のこのサイト並びに九折さんとの出会い〜現在までの略歴を載せてみます。
それがパーティーの宣伝になるのかは全くわかりませんが。
========
・2007年(高校2年の夏)
彼女が欲しいと思い立ち、恋愛関係の文章を探していてこのサイトを発見する。サイトのコラムを読み漁る。
・2007年(高校2年の秋)
クラスの好きな子に告白するために、(今は無くなった)サイトの掲示板を通して九折さんに恋愛相談をする。
↓
好きな子に振られる。
・2009年(浪人時代)
受験勉強に勤しむかたわら、mixiを通じて九折さんにメッセージを何度か送り交流する。
・2010年(大学1年の春)
東京の大学に合格して上京し、それと同時に九折さんと始めてお会いする。
何度か連絡を取っていたが、ある時メッセージで酷い暴言を受けそれ以来疎遠になる(ここが重要)。
メッセージでのやり取りは無くなったが、サイトだけは毎日のように閲覧する。
・2013年(大学4年の秋)
2年ほど間を空けて、勇気を出して再び九折さんに連絡を取る。無事に返信をいただけてほっとする。
同時に久しぶりのパーティー開催があり、始めて参加する。
========
2013年にパーティーに参加して以来、仕事の都合で神戸にいた時期もありましたが現在は横浜市に在住しており、パーティーにもそこそこに参加させていただいております。
(略歴など書いてみましたが、やっぱり宣伝に効果があるとも思えません。ゴメンなさい。)
続いて、パーティー自体について簡単に説明してみます。
まず、渋谷の駅近くのドラッグストアの前に集まります。初参加の人は緊張すると思いますが、私は何度も参加しているのに毎回緊張しているので大丈夫です。
お店は待ち合わせ場所から歩いて数分のところにあります。歩いている時などわりと無言だったりします。
会場はマンションの1室を貸し切るような感じです。カラオケが置いてありますが使われることはありません。
19時30分ぐらいからパーティーが始まります。雰囲気は騒がしい感じではなく、なんというかとらえどころがないです。九折さんを中心にぽつぽつと話がおこります。
お酒がある程度回ってくると、合気道の実演があったりf式の話があったり九折さんがやりたい放題だったりよくわからなくなってきます。
11時半を過ぎるとお店のラストオーダーの時間なので場所を変えます。歩きながら次の居場所をフラフラ探します。
2軒目で何が起こるかはその時次第です。私はこっちの方が楽しいです。
だらだらと過ごして気がつくと朝になっています。わりとあっという間に時間が経ちます。
つらつらと書いてみましたが、だいたいこんな感じです。
参加したい気持ちが湧いてきましたか。
湧いてこなくてもいいので、とりあえず参加してみるといいのではないでしょうか。
せっかく読んでいただいたので、もしこれを読んで参加していただいた方にプレゼントをあげたいと思います。
プレゼントとは、私が以前九折さんにいただいた「暴言メッセージ」です。
「興味ないよ」と言われたらおしまいですが、一部抜粋するので参考までに。
「人を傷つける、なんてチャチなことが、表現行為と同次元のことだったら、誰でも表現できるじゃない。自意識の膨れあがった人間を傷つけるなんて実に簡単なんだから。 つかごんくんは実際アタマ悪いみたいだし、そのくせ自意識過剰だし、もう死んだほうがいいんじゃない。話聞いててもキモいばっかりだし、そんなやつがハアハア言ってたら周りの女の子に本気で迷惑だし。むしろ俺としては、なぜお前が堂々と生きていけているのか、その神経がわからないんですけど。まさに『ありえない』ってやつで。人格障害というか、アスペルガーなの? ……と、こう言うだけで人を『傷つける』ということはできるわけだから、実に簡単だ。」
こんな感じです。
さっき数えたら全部で6500文字以上ありました。コラム1つ分くらいありますね。
全文読んでみたい方は、ぜひパーティーに参加してみてください。
では。土曜日を楽しみにしています。
つかごん
***
寄稿された本文には、改行等を整えただけで、一切の加筆修正はしていない。
どうだ、なかなか悲惨なメに遭っている男がいたものだろう。
特に、暴言メッセージの部分は、他ならぬ僕が読んでいても相当にひどい。
つかごんくんは、何も悪くないのに、こんなメチャクチャを言われて……
これはきっと、前世にものすごい罪業があったのだろう。
前世のことだから、しょうがない。
今世は何かいいことがあるといいな。
現在サンドバッグ無料キャンペーンを行っています。
みなさま奮ってご参加くださいね。
ちなみに、もちろん申し上げておくが、女性がこんな暴虐を受けることは決してないので、安心してくれ。
僕には、女の子に甘い、という、徹底的な評判がある。
「おれって、そんな、女の子に甘いか?」
と訊いたとき、珍しく一斉に、
「甘いよ」
「男の人に冷たい」
「男の人かわいそう」
「主催者としてサイテー」
という声が上がった。
たぶんパーティのメンバーが一致団結したのは、このときが最初で最後である。
そんなに女の子に甘いかな?
でも、そうまで言われるからには甘いのだろう。
そこは、少々、反省しないといけないと思っている。
そこは唇を噛んで、くそっ、と、サンドバッグを殴って反省することにしよう。
まあしかし、暴言メッセージなんか見ると、「何もそんな言い方までせんでも」という気がする。
ひどい話だね。
それでいて、一番のナゾは、それでもこうしてこのつかごんくんという男は、何か知らんが一応僕を、今もなお慕ってくれているというところだ。
あ、マゾヒストなのかな?
たぶん、それもあるだろうが、それだけでは説明がつかない気もする。
まあ別にいいや。
重要でないことを考えてもしょうがない。
実は、土曜日の夜には秘密がある。
それは、午後七時から、十二時間経つと、日曜日の、午前七時になる、ということだ。
すごいだろう。
しかも、この秘密のすごいところは、こうして十二時間経つと午前七時になるということが、実はパーティに来ても来なくても、同じだ、というところにある。
パーティに来なくても、十二時間後には、午前七時になっているのだ。
すごいだろう。
表面上、イーブンになるのだ。
にもかかわらず、内部的には、パーティの体験者と、そうでない人とに、分かたれているわけだ。
そうやって、人は知らないうちに、内部的に違う人間に分かれていってしまう。
そうして、積み重なってゆき、気づいたときには、人それぞれ、とんでもないレベル差がついている、という状況になるのだ。
だから、もし、パーティに参加せずに、日曜日の午前七時を迎えてしまった人は、「しまった!」と、青ざめなくてはならない。
割と冗談でもなくな……
日曜日の午前七時を、何もなしに迎えてしまったら、誰にとっても「しまった!」だ。
もう土曜日の夜は帰ってこないからね。
まったく、怖いことで、身がぶるぶる震えそうだ。
こうして、煙に巻いて、宣伝コラム第四弾はおしまい。
つかごんくん、寄稿をありがとう。
さすがに、今回は、サンドバッグにも遠慮して、左手を使うことにするね。
僕にも感謝の心というものがあるのだ。
あ、ひとつ言い忘れていた。
いつものアレだ。
みんな、遊びに来てね。
九折
[パーティへの誘い その4/了]