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2.「新世紀エヴァンゲリオン」はどういう話なのか

「新世紀エヴァンゲリオン」は、どういう話でもない。

まったく意外なことだと思われるが、この作品は――あえて作品と呼ぶとして――「話」ではないのだ。

「新世紀エヴァンゲリオン」という "話" は存在していない。

このことさえ伝えればわたしの話すところの半分は満了する。

「エヴァ」というと、「使徒」が急襲してきて、それをエヴァが撃退するというふうに知られているが、使徒という話はないし、それが襲来するという話もないのだ。

汎用人型決戦兵器・人造人間エヴァンゲリオンという話も存在していない。

人類補完計画という話も存在していないし、◯th インパクトという話も存在していない。

ゼーレなんて話もないし、ネルフなんて話もないし、ヴィレなんて話もない。

「エヴァ」に関わって、いろんな人がいろんな「考察」をしているらしいことは、ファンでなくても聞き及んでいる。

が、どのように考察しても無駄だ。

どのような話なのかを考察するのだが、これはどのようなという以前にそもそも「話」ではない。

カレンダーはどんな話か。電動マッサージ機はどんな話か。地図はどんな話か。スリッパはどんな話か。

それは「話ではない」と言うしかないだろう。

それをどんな話かと考察しても無駄だ。

綾波という話もないし、アスカという話もないし、ミサトさんという話もないし、シンジ君という話もない。ゲンドウという話も、ユイという話もない。

じゃあ何があるのかというと、フレーバーがあるのだ。

ゼーレというと、その語感から「ゼーレ」というフレーバーがある。

リリスというと、「リリス」というフレーバーがある。

パターン青というと、「パターン青」というフレーバーがある。

ATフィールドというと、「ATフィールド」というフレーバーがある。

ATフィールドなんて「話」はない。

新世紀エヴァンゲリオンというアニメは、純粋に「絵が動いている」だけだ。

そこにさまざまな単語が語感と共にフレーバーとして添えられている。

これはある意味、作劇として斬新な、あるいは斬新という次元を超える何かだと言える。

そのことは肯定的に見れば絶賛しうるだろうし、否定的に見れば絶望的に否定できるだろう。

われわれは映画というと、大前提、何かの「話」だと思っているのだ。それは映画を作る側と観る側とのあいだで無言裡に醸成されてきた一種の約束だと言える。

映画が上映されると聞いて、その壇上でずーっと電動ノコギリが回っていたという話は古今に聞かない。

「エヴァ」には、大量の、これでもかという「フレーバー」だけがほどこされていて、それと共に、こちらも大量に、「絵が動いている」だけだ。

ただ当然ながら、その「絵が動いている」というものそれじたいは品質が高く、そのことは相応の評価を受ける資格がある。

それでいて、われわれの虚を突いている本質は、それらのすべてが一切「話」ではないというところなのだ。

しかもこれは、きっと意図的にそうして旧来の映画の約束を破ろうとしたものではなく、いつのまにか「話」というそれじたいと絶縁してしまった――絶交されてしまった――作り手から自然発生してきたものだ。

このことは、是非の以前に、常識的な感覚として「精神の健全さを損ねる悪影響がある」と言わなくてはならない。

映画を観る側は、ずっと何かしらの「話」を観せられているのだと思っている――その約束を大前提信じている――のに、実際にはそうでないものをずっとねじ込まれているからだ。

まるで病人が、病院ではないところに通院して、ずっと施術を受けているような感じだ。

この患者は、何か空回りした全身の「気持ち悪さ」を抱えて、よくわからなくなって、再びそこに通院してしまうだろう。

テレビシリーズであれ劇場版であれ、「エヴァ」は旧来の映画とは根本的に異なるものだ、映像と音響から「話」を創り出していくという文化芸術のそれではない。

映画館で上映したからといってすべてが映画というわけではない。

映画でなかったとしたら、これは何なのか。「話」がないのだとしたら、これは何なのか。

それは言うなれば、ひとつのパトス生成物、パトス実験、パトス装置、のようなものだ。

宗教組織が使う洗脳テープなどのほうに近い。

洗脳テープは映画ではないし、「話」でもないだろう。そしてきっと精神の健全さを損ねる悪影響がある。




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