パーティのコラム



第二回パーティ!






日時  2004年8月7日 19時〜
場所  新宿・キリストンカフェ
参加者 タコスさん(男)
    ルナさん (女)※コメントとプロフィール、メールアドレスはこちら
    みるくさん(女)
    福ちゃん (男)
    九折   (男)



待ち合わせは新宿アルタ前。時間通りに来てくれたのは、タコスさんだけだった。僕はもちろん、タコスさんとは初対面だ。ドウモドウモ、と、つまらない挨拶をする。

ネットで待ち合わせた男性と会うなんて気色悪い話だと思っていたが、なかなかどうして、タコスさんは馴染みやすい人だった。タコスさんは色んなオフ会に参加さた経験があるらしく、初対面ということに対する気張りがなかった。その彼の特徴は、アップテンポな話し方にあると言えるだろう。それは途切れることもないから、あわせてこっちも調子を上げていかないと、ずっと聞く側にまわってしまうことになる。初対面で話すのが苦手という人は、彼が相手ならとても気が楽だろう。不必要にこちらの様子を伺うことをせず、彼独自のペースで、たわいない話を、じつに楽しそうに話してくれる。

このくそ暑いのに、アルタ前で待ち合わせというのはよくなかったかもしれない。タコスさんは、住民票もないのではないかと思われるようなうさんくさい夫婦がやっている屋台で、カキ氷を買って食べた。つられて、僕も買って食べてしまった。アルタ前の公園で、初対面の男二人、立ったままカキ氷を食う。かなりマヌケな光景だ。

そうこうしているうちに、僕の後輩、福ちゃんがきた。彼は、前回まではF君と表記していたが、今回女性陣から福ちゃんと呼ばれるようになったので、これからはその名称でいくことにしよう。

その福ちゃんは、その日の夕方、怪しからぬことに、「今日って、パーティやるんですか?」などと確認の電話を入れてきた。僕は「やるにきまってるだろうが」とドスを効かせて、彼を強制召喚する。彼は基本的に、初対面とかパーティとかいうことに伴う緊張感やプレッシャーに、とても素直である。それゆえに、放置しておくと、だんだんと物事に対して消極的な方向へと向かってしまうのだ。それは本人も自覚しているので、それを補うために、ことあるごとに僕を利用している。僕の余計な企画にこき使われる代わりに、なんやかんやと経験する機会を得る。そういう、持ちつ持たれつなのだ。


それに少し遅れて、ルナさんとみるくさんがやってきた。ルナさんは前回も参加してくれた、このサイトの強力なサポーターで、みるくさんはその友人だ。僕を含めて、タコスさん、福ちゃん、ルナさん、みるくさん、計5名が揃った。これが今回の参加者全員だ。

お気づきのことと思うが、福ちゃんは僕の友人で、みるくさんがルナさんの友達であるからには、純粋に僕のサイトを見て来てくれたという人は、タコスさんだけということになってしまう。そのほかは、結局友達つながりだ。果たしてこのサイトは役に立っているのか?それを思うと、少々忸怩たるものがあるが、まあそんな形式はどうでもいいではないか。とにかく、人は集まったのだ。ついでに、来てくれた人は、今回全員とも特定のステディがいない。まさしく出会い系サイト、出会い系パーティだ。僕はそう信じることにした。

ルナさんは、サイトのコラムに何度か登場しているが、まったくもってタフな人である。今回は極めつけで、大阪から18きっぷを使って、鈍行で東京までやってきた。これは、彼女にしかできないことであろう。新宿に来るために地下鉄を二回乗り換えただけでぐったりしている僕とは、比べ物にならないのである。

みるくさんは、スタイルのいい、お姉さん系の女性だった。さすがにルナさんの友達だと思わせるほど、気さくで、人当たりがいい人だ。やわらかそうなロングヘアがとてもよく似合っている。これで今回は、華やかになるなぁと思い、僕はルナさんに感謝した。はっきりいって、僕のやっていることは、もうルナさんのサポートなしでは成り立たなくなっている。僕はただ頭が下がる思いだ。ただし、僕がみるくさんに挨拶したとき、みるくさんが人に馴れていない馬のように後ずさって距離をとったのは、きっとルナさんから僕についてのまちがった情報を刷り込まれていることによるものに違いない。僕の正確な情報が伝わっていれば、もっとラヴリーな反応をしてくれたはずなんだが。

僕はみんなを引き連れて、靖国通りを東に五分、キリストンカフェに向かった。以前は雑誌で取り上げられたからか、かなり混雑する店だったが、今は予約さえしておけば、待ち時間なしで着席できるようになっていた。天井の高いフロアに、キリスト教関連のオブジェやアイテムが並べられていて、それなりにいい雰囲気を作っている。それらは、じっくり観察してしまうと実はすごくチープな作りをしているのだが、ライティングでそれを上手く見せている。内装にそこまでお金をかけていないので、客単価もかなり抑えられるのだろう、雰囲気と比較すれば、全体的に割安感のあるお店である。

着席して、テキトーに飲み物と食べ物をオーダーする。乾杯の挨拶が済めば、あとは僕は用なしだ。それなりに幹事役というのは気疲れがあるのであって、用なしになった僕はようやく一息つくことができ、満足のタバコを吸うことができた。

それぞれ、気さくな人間が集まってくれたからだろう、何もしなくても、勝手に会話は盛り上がった。僕のサイトを起点として集まったのであるから、僕のことや僕のサイトの話題が出てもよさそうなものだが、はじまってしまえばそんなことは関係ないらしく、そんな話は出る気配もない。はっきりいって、ただの合コン状態だ。まあこうなるのが、一番正しいのだろう。いかなる媒体をきっかけにしたとしても、目の前にその人が現れたら、その人に意識を向けていればいいのだ。とはいえ、僕が苦労してサイト運営していることについては、まったく慰労の言葉もかからない。みんな、好きに飲み、好きにしゃべっている。

飲みだしてから様子が変わったのは、まずみるくさんだ。初めは猫をかぶっていたが、徐々にそれが剥がれだして、ノリノリになっている。彼女は法学部に在籍している大学生で、ここのところ詰め込みで勉強していたらしい。そのストレスがここにきて爆発したのだろうか。もともと遊び好きな本性が出てきたらしく、たおやかな手つきで、実は勢いよく、お酒を飲んでいた。第一印象はキレイ系の女性だが、本質はカワイイ系なのかな、と僕は想像する。ただし、「100円ライターはイヤ」とナゾめいたこだわりについて語るからには、拙速な判断は禁物である。彼女を口説くつもりの人は、ライターについて造詣を深めておくべきだろう。

ナゾめいたこだわりといえば、タコスさんだ。タコスさんは珍しいことに、ラーメンが嫌いらしい。その嫌いぶりは半端ではなく、彼はラーメン否定論と呼ぶべきものまで持っていた。「ラーメンは熱いからダメだ」「うどんに比べて麺そのもののヴォリュームがない。うどんは太いから熱くてもいいが、細くて熱いラーメンはダメだ」「できるものなら、このラーメン嫌いを打ち壊すぐらいおいしいラーメン屋を教えてほしい」「熱い蕎麦って無いでしょ。あれ、あったっけ。いやでも、蕎麦は冷たい蕎麦が本質でしょう」などなど、酔っ払いながら。このあたり、じゃあにゅうめんは熱くて細いけどどうなんだよと言い出せば、そのロジックは崩壊してしまうし、熱いからダメだというのでは、そりゃただの猫舌だということになってしまう。しかし、彼以外の四名は、ただ彼の気迫とアップテンポの口調に呑まれて、笑いながらも話を聞いてしまっていた。みんなはラーメンが好きだったが、ラーメン肯定論を打ち立てるまでには至っていないのだ。今回集まった中で、一番面白い人賞は、ラーメン否定論で場を盛り上げてくれた功績をもって、彼に授与すべきだろう。彼はそのかたくなな個性で、人に愛されているに違いない。

後半、女性陣がデザートをオーダーした。「天使が好んだティラミス」と、「天使のブリュレ ラズベリーソース」。僕と福ちゃんは沈黙して女性陣にオーダーを任せていたが、タコスさんは抜け目無く、自らパンプキンケーキをオーダーしていた。

どこかのコラムに書いたと思うが、女性にとって甘いものとは、至福をもたらすものらしい。僕たち男性陣も、そのデザートをおいしく頂くのだが、それはあくまでおいしいということだけであって、至福と呼ぶべきものではない。だが、女性にとってはそうではないのだ。僕は今回また、その確信を深めた。今回、ルナさんだけでなくみるくさんも、目を細めて、その至福の表情を見せたからだ。僕はそのときの表情を、「エクスタシー顔」と呼称することにした。それを聞いた女性陣は納得がいかぬようだったが、それは彼女らが自分の顔を見ていないからだと断じたい。

そんなわけで、僕のつまらぬ企画は、大いに盛り上がったのだった。







終電に間に合う時間に、店を出て、新宿駅に戻った。そこで、タコスさんを見送った。タコスさんは、タクシーでは帰られない距離に住んでいる。朝までオールするかどうかかなり悩んでいたが、「いつものパターン」から脱すべく、彼は勇気ある撤退を選んだ。また、ぜひ次回も参加してもらいたいと思う。あと僕は、いつか吉祥寺にいって、彼とゲームセンターで勝負をしなくてはならない。彼はまだ現役のゲーマーで、僕はブランクがあるが、間違いなく元ゲーマーなのだ。ゲームは、ストUになるだろう。僕はターボのケンを使うつもりだが、彼はダッシュベガでハメてやると息巻いていた。これは、わからない人にはまったくわからないが、わかる人には楽しい話なのだ。

残された四人は、帰るかどうか迷っていたが、当初レポートがあるからと尻込みしていたみるくさん本人が、カラオケに行くことを強く強く要請しだした。みるくさんは、提案であって要請ではないと言うだろうが、それは間違いなく強い要請だった。結局僕たちは、安いカラオケボックスで、朝まで存分に歌い続けることになった。フリータイム終了の朝五時を過ぎてもさらに延長する勢いで、朝の六時には、四人で「YAH YAH YAH」を大声で歌ったのだった。










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